もし腹黒でも「顔筋」がよければ誠実な印象に

彼女が提唱するのは、「顔筋コーディネイト」である。なにそれ? とお思いの読者も多いに違いない。

顔筋コーディネイトとは、無意識の行動と思考の癖が生み出す「顔のコリ」に着目し、コリ固まった顔筋を刺激して顔のデザイニングを行うこと。それによって笑っていないのに機嫌よさそうな顔になることができるそうだ。

いわば愛され顔。

それも、生まれもった顔立ちの善し悪しを問わず、機嫌よさそうな顔&愛され顔にできるというのだからちょっとばかり気になるではないか。

先ほど、KATSUYOさんが「ビジネスマンに必要」と言った話に戻ろう。

「長年の生活習慣や性格や思考は、顔に出る」とKATSUYOさんは言う。日本の男性は眉間にシワを寄せ、なおかつ、考え込んで口角が下がり不必要なホウレイ線をつくっている。すると、表情のクセが固定化していくという。おじさんの顔筋は、きっと私より、ゴリゴリに違いない。

「ビジネスマンは顔が名刺だから、顔でネガティブに見られたら損。顔はその人が持っている運気を表します」(KATSUYOさん)

確かにそうだ。そしてドキッとする言葉だ。いくら仕事ができても、顔で損はしたくない。

「顔筋コーデをすれば、顔筋がやわらかくイキイキした優しそうな表情をつくりやすい。たとえ腹黒であったとしても誠実な印象をあたえることもできる。政治家には絶対必要ですね」(KATSUYOさん)。いやいや政治家でなくとも、必要だろう。むしろビジネスマンこそ必須だろう。

30種類の顔筋を整えて愛され顔に(左が施術後)

私自身は、そもそも顔が凝るという認識がなかったが、鏡を覗き込むと、ホウレイ線や老眼による眉間のしわを認めないわけにはいかないし、顎のラインも不明瞭だ。頬は、重力に逆らうことなく、おっと、まぶたも落ちてきているではないか。

就寝中に無意識に奥歯をかみ締めている癖があるせいか、政治家の麻生太郎さんとまではいかないが、よくよくみると、やや右頬が上がっている。片方だけ頬の筋肉が上がっていると、「人を小ばかにしたような企みのある顔に見られる」(KATSUYOさん)そうだ。男ならまだしも、女でそれはない。絶対にない。仮に企みはあったとしても、隠したい。

KATSUYOさんに、自分の顔のコリを確認してもらった。手や道具を使って顔の筋肉をチェックしてもらうのだが、これがちょっとやっかいなのだ。「痛たたたた」。飛び上がるほどの凝り具合。私の顔は、ゴリゴリだった。

頬の高い位置に肉がしっかりあり、ちょっと微笑んだだけで頬に丸みがでるのが、幸せ顔なのだそうだ。そんな誰もが思う、幸せ顔になりたい。

自分でやる顔筋コーディネイトは、手やペン先などでもいいそうだが、彼女の施術は、黒水牛の角で作ったオリジナルスティック(医療用磁石入りの)を使う。血行を促進し、よりはやくほぐれるという。