【2】新築分譲 vs 中古マンション

間取りや設備の「×」をリフォームで解消する

マンション購入で失敗しないためにはどうすればいいでしょうか。

マンションを構成する要素には、「Price(価格)」「Place(立地)」「Plan(間取りや設備)」という「3つのP」があります。この3つのPについて、新築・中古・築年数など様々な条件のマンションを「◎」「○」「△」「×」という4段階で評価しながら、解説していきましょう。

まず、都市部の新築分譲マンションは、価格(Price)が2012年から上昇しています。

不動産調査会社である「東京カンテイ」の調査によると、首都圏にある新築マンションの平均価格は2015年に5183万円となり、14年の4653万円から11.4%と大幅に上昇しました。

その要因としては、東日本大震災の復興や東京五輪誘致により建設関連の需要が増え、人件費が下がらないことが影響しています。今後も不動産価格が上昇し続けるとは限りませんが、ここ数年間は高めの価格で推移していることから、新築マンションの価格は「△」といえます。

立地(Place)の面でいうと、近年は新築マンションの供給量そのものが減ってきています。自分の住みたいエリアがあっても、そこに分譲予定の新築マンションはないかもしれません。その意味で立地は「△」になります。

ただし供給量を絞っている分、新築で売りに出される分譲マンションは、都心部や郊外のターミナル駅近くの好立地であることが多いのです。この場合は利便性の良さから、価格は高くなり手が出にくいのですが、立地は「○」といえます。間取りや設備(Plan)については、最新のものが採用されていることもあり「○」になります。

中古マンションについては、築浅か築古かで事情が大きく異なります。

特にここ10~15年以内に建設された築浅物件は、当時のマンションブームを反映し、比較的良好な立地であることが多いため、立地は「○」といえます。

間取りや設備も「○」で、新築に比べて遜色ありません。もちろん10年分の使用感はありますが、構造や設備が古くて使いづらいということはないでしょう。

価格は「○」、もしくは「△」。今は中古マンションの需要があるので、築10年くらいでは「中古だけどそんなに安くない」という相場です。なぜ需要が高いかというと、買う人の年収は横ばいか、下手をしたら下がっているにもかかわらず、新築マンションの価格は上がっているため、中古に目を向ける人が増えているからです。築浅で質のいいマンションが増えていることも中古人気の一因です。

一方、築30年以上の築古のマンションの価格は「◎」となる。都内でも1000万円台で購入できるものもあります。売りに出されている数も多いので立地は選びやすく「○」といえますが、間取りや設備は古くて傷んでいるので「×」です。

ただ間取りや設備については、リフォームすれば最新のものに変えることができます。

最近では、仲介会社が事前に建物検査(インスペクション)をしたり、品質保証のサービスをしたりする場合もある。不動産会社が買い取ってフルリフォームして売り出す物件も増加しています。間取りや設備の「×」を解消する手立てはあるので、その意味では「×」が「○」になることもあります。

(住宅ジャーナリスト 山本久美子)