「保育園落ちた日本死ね」の状況は改善されるか

小池都知事が待機児童対策として1381億円の予算を組んだ。「保育園落ちた日本死ね」の状況は、改善されるのだろうか。『図解! 業界地図2017年版』でも触れているが、株式公開企業として保育園の運営を手がけているJPホールディングス(HD)、サクセスHD、幼児活動研究会の経営状況などをより詳しく確認しておこう。

『図解! 業界地図2017年版』(ビジネスリサーチ・ジャパン著/プレジデント社刊)

保育園に預けたくても預けられない待機児童数は、首都圏を中心に2万人を軽く超すとされ、深刻な社会問題になっている。そのため、認可保育園の運営主体に株式会社の参入を認める自治体が増加。2万4000を数える保育園のほとんどは、依然として自治体や社会福祉法人の運営によるものだが、株式会社の保育園も率にして4%弱、900カ所を超えるまでになっている。認可まではいかないものの、自治体の独自基準に基づく準認可保育園の設置も増えている。

運営側は、認可保育園の場合は、保護者から保育料を徴収した自治体から委託費(運営費)を受けることになり、準認可保育園の場合は自治体からの補助金と、保護者から保育料を徴収するのが基本である。

株式会社、いわゆる民間企業では、自社従業員のために事業所内に保育所を用意する企業が出現。一方、保育園の運営そのものを事業にしているのは、育児用品のピジョンや出版・学習塾の学研HD、介護最大手のニチイ学館などである。ここでは保育園運営の専業というべきJPHD、サクセスHD、幼児活動研究会の3社にスポットを当ててみた。

15年度でいえば、「アスク」ブランドの日本保育サービスを子会社に持つJPHDは、159の保育園を中心に、学童クラブや児童館を含めれば224施設を運営。売上高205億円のうち、保育料や補助金など横浜市と川崎市からの収入は55億円強、全体のほぼ27%を占めている。

単純計算では1施設の月間売り上げ規模は770万円弱。保育園に限れば、1施設の運営スタッフは従業員11.4人、パート7人が平均で、1施設平均の資産価値はおよそ3000万円である。新規に1施設をオープンさせるために投じる資金は、1億2200万円が平均だ。

JPHDは民間の保育園として最大手であり、鉄道会社の相鉄HDの運営している相鉄アメニティライフ(横浜市認可保育所)などを買収。化粧品の資生堂とは合弁会社を設立し、資生堂が自社内に設置する保育園の運営を担う予定だ。