ところが、ほとんどの場合は「総論賛成、各論反対」。次のようなロジックで、彼女の願いを退けたという。

「そういう学校があったら確かに素晴らしいと僕は思う、総論は賛成だ。ただ、自分にはあなたを支援できない理由がある。それはこれこれだと明確におっしゃってくださった。他のNPOを応援しているからとか、どこそこの理事をやっているからとか。あなたの学校は米国のボーディングスクール(全寮制の学校)に比べたら競争力がないんじゃないかとか。3.11の後は、外国から日本に生徒は来ないんじゃないかとか」

通常のビジネスでも、こういう場面はよくある。普通なら断られた時点で、「なぜ断るか」の部分は耳に入らなくなるだろう。それが相手を追い返すための方便にすぎないと感じるからだ。

けれど、彼女はそういう具合に相手の言葉を聞き流さなかった。

「断られてしまった、ということを気に病んでもしようがない。この人、私のことを未熟だと思っているんじゃないかとか、相手の言葉のウラを読んでも仕方がないと思う。それよりも、いってもらったことを額面通りに受け止めて、この人はどうしてこのプロジェクトが上手くいかないと考えているのか、という事実だけに目を向けます」

こう考えられるところが彼女の強さである。

「駄目だといわれたけれど、それは私に対する批判ではなくて、純粋にビジネス的な見地から、こことここにリスクがあると指摘してくれたんだと冷静に考え、リスクを軽減することだけに意識を向ける。そして米国のボーディングスクールに比べてどういう強みをつくっていけばいいかとか、海外から日本に来ないっていうふうにみんなが思っているんだとしたら、何をしなければいけないかとか。それをどうやって克服したらいいかという、前向きのエネルギーに変えていったんです」