当日から手続き開始。悲しんでいられない
慈しみ育ててくれた親。愛する人の死は寂しく、失った痛みも大きい。だが、税理士法人レガシィの代表社員税理士・大山広見さんは、「家族の死亡時は、悲しみの中でも速やかに行わなければならない手続きがある」という。
「葬儀の手配や死亡届の提出、税金関係の申告など、身近な人が亡くなると、ご遺族はさまざまな手続きに追われます。とくに相続税が発生するケースでは、期限までに申告しないとペナルティが課せられます。知らなかったでは済まされないので、死亡時の諸手続きはぜひとも知っておきたい情報です」
身近な人が亡くなった場合、真っ先に頭に浮かぶのは通夜や葬儀の手配だろう。だが、火葬場を利用するにも許可がいるので、並行してやらなければいけないのが行政上の手続きだ。死亡を確認した医師に「死亡診断書」を発行してもらい、それを持って市区町村に「死亡届」と「火葬許可申請書」を提出する。死亡届を出すと、市区町村ではそのほかに必要な届け出について教えてくれるが、早めにやっておきたいのが社会保険の手続きだ。
健康保険証は、死亡した翌日から使えなくなる。会社員の健康保険は5日以内、国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者は14日以内に保険証を返却し、資格喪失の手続きを取る。このとき、健康保険から支給される葬祭費や埋葬料の申請もしておくといい。会社員の夫に扶養されていた妻や子供などは、夫の死と同時に資格喪失するので、国民健康保険などへの加入手続きも忘れずに。介護保険を利用していた人は、被保険者証も同時に返却する。
公的年金の手続きは、(1)「年金受給権者死亡届」の提出と(2)「死亡一時金・遺族年金」の請求の2つ。
亡くなった人が公的年金を受け取っていた場合は「年金受給権者死亡届」を提出し、受給停止の手続きを取る。手続きが遅れて死亡後に年金が支払われると払い戻す手間が増えるので、速やかに受給停止の手続きを。公的年金からは、誰でも死亡一時金が支払われる。亡くなった人に扶養されていた遺族は、年金の種類や子供の年齢、遺族の年収などによっては遺族年金を受け取れる。夫に扶養されていた妻は寡婦年金がもらえることもあるので、年金事務所に問い合わせて請求手続きを。