子どもの心に「親の言葉」を刻みつけるには?

【思春期の子どもへの留意点1.「人生ここぞ」の時にわが子を認める】
『中学受験 わが子を合格させる父親道―――ヤル気を引き出す「神オヤジ」と子どもをツブす「ダメおやぢ」』鳥居りんこ(著) ダイヤモンド社

子どもというものはいくつになろうが、親から褒められたくて、認められたくてただそれだけで頑張れるものだが「人生ここぞ」のときに、父親からその存在を認められた子どもはとても強い。

拙書『父親道』にも書いたが、受験で連敗していた子どもに父親が声をかけた。塾から励まされたせいか吹っ切れた顔をしていた息子を見て、父がこう言ったのだ。

「お前、いい顔してるな! 明日は大丈夫だ!」

母はその瞬間、息子の顔がパッと輝いたことを見逃さなかったそうだ。それから受験は快進撃。しかるべき時にしかるべき言葉を親からかけられた子は幸せだ。それが肯定文であったなら、それだけで子どもはこの先の長い道のりを生き抜く原動力を持つだろう。

しかし、この「しかるべき時にしかるべき言葉をかける」のは思ったよりも難しい。わが子の顔を日ごろからしっかりと見ていなければ、わが子の顔の些細な変化には気が付かないからだ。

特に子どもとは時間的にすれ違いがちになるお父さんには至難の業だ。けれども、どんなに忙しかろうと「わが子をしっかりとキャッチするのだ」と意識している父親はアンテナの感度が高い。

わが子の成長を見守りつつ、ここぞの時に「肯定文」で声をかける。

例え、一生に一回の褒め言葉であったとしても、父親のそれはわが子の心に絶大なエールとして生き続ける。