地域の生産農家をどう支えるのか

――法人化をきっかけに、新しいことにも取り組んでこられたわけですが、将来を見据えたときに、経営の課題は何だとお考えですか。

【秋竹】私たちの世代は、昭和30年代にみかん農業がすごくよかった時代を知っている世代です。その後、昭和40年代後半から50年代前半には、みかんが大暴落した時代も経験しています。それが今ではみんな70代になり、次の世代が育っていません。このままでは、みかんづくりの担い手がガクンと減ることになります。原料としてのみかんが減れば、私たちのようなみかん加工会社にとっても大きな痛手です。みかんが少なくなってしまうかもしれない。これが一番の課題だと思っています。

――どの品目でも同じような悩みが聞かれます。農業生産法人として2次産業、3次産業に取り組んでも、根幹となる1次産業が衰退してしまっては、足元から崩れてしまいます。今後、農業を引退される方が増えたり、後継者の方が減ったりしていることに対して、早和果樹園としてはどのような取り組みをされているのでしょうか。
加工場では、主力商品のひとつであるみかんジュースが続々とできあがっていた。

【秋竹】なかなか難しい問題だと思います。私たちの周りでも、あの畑はそろそろやる人がいなくなって空きそうだ、ということがわかります。60代70代の世代が急傾斜の畑でみかんづくりを続けていくのはしんどいですから。我々の会社でみかん栽培を広げていくことも必要だと考えています。

とはいえ、それだけでは追いつかないので、加工業者である私たちがみかんの買入価格を高くして、若い後継者がみかん栽培で生計を立てやすくしていくことも大事だろうと考えています。

今みかん農家は、生産量の90%以上を生果で出荷しようとしています。加工用で出荷しても捨て値になるだけなので、できるだけ綺麗なみかんをつくって、生で出そうとするわけです。ただ、生果で高く売ろうと思っても、外国産も入ってくるし、なかなか難しいのが現実です。そこで我々がみかんに付加価値をつけて加工用の買上価格を高くして、生産者を所得の面で支えていける形を構築していく。そのほうが実現性があるかもしれないと思っています。