首都圏のマツダのショールーム機能を持つ

左より、稲本信秀・マツダ取締役専務執行役員、山口滋己・関東マツダ社長、前田育男・マツダ常務執行役員、谷尻誠・Suppose design office(店舗デザイン)

筆者の乏しい経験によれば、この縁側の発想を積極的にそして意識的にとり入れた企業のショールームの第1号は昨年秋に誕生したボッシュのショールーム(東京都渋谷区)ではないかと思う。渋谷駅から徒歩数分のところにあるボッシュの本社ロビーを一新し、cafe 1886 at Boschという食通にも評価されるカフェ(食事もできる)をつくり、これとショールームを一体化した空間をつくりあげた。世界的な企業ボッシュにして創業以来130年で初めてのショールームの成功を見て、ドイツのボッシュ本社は、日本以外の国に第2号、第3号の創設を検討中という。

また、国内の企業に目を転じれば、ソニーは建設から50年のソニービルの一新を計画。その敷地をいったん更地にしてソニーパークとし、2022年に新たなソニービルを誕生させるという。この計画に関して同社の社長兼CEO平井一夫氏は「街に対して開かれた施設の実現を検討メンバーに伝えた」という。また、そのメッセージは“Inviting”だという。従来のソニービルにも、ソニースクウェアという小さいながらも開かれた空間があり、そこでさまざまなイベントが行われ、社会的な明るい話題を提供し、ソニーのブランドイメージ向上に寄与してきたことの流れを絶やさずに続けようという意図の表れだろう。これもまた縁側の発想のなせる技ではないか。

ボッシュはどちらかといえばBtoBのビジネスを展開する企業、ソニーはBtoCの企業であり、両社ともにショールームに縁側の発想をとり入れている。

高田馬場店の斬新さは、マツダというBtoCの企業にして、さらにこの縁側の発想をショールームではなく、販売の現場に展開しようというところにある。それだけに、同店はマツダ全体にとっても非常に重要な存在だ。その証拠に、去る10月28日に行われた「お披露目会」にはマツダの役員が駆けつけているのだ。まず取締役専務執行役員の稲本信秀、同常務執行役員の前田育男、そして執行役員の西山雷大。

西山雷太はこの高田馬場店刷新を計画したとき、同店を運営する関東マツダの社長を務めていた。このときの西山の狙いは、「関東マツダの旗艦店に首都圏におけるマツダのショールームの機能を持たせること」だった。