新型CX-5で構造改革ステージ2へ

マツダは去る12月15日、同社の基幹車種であるSUV(スポーティーな多目的車)、CX-5の新型を来年2017年の2月2日に発売すると発表した。

マツダは2月2日、新型CX-5を発売する。

新型にとって代わられる初代のCX-5(以降“初代”)は、今からさかのぼること4年と11カ月前、2012年2月に、現在同社の製品ラインアップ(アテンザ、アクセラ、ロードスターなど)を構成しているいわゆる“新世代商品群のトップバッター”として発売された。新世代商品群の市場投入がこの4年間で一巡して完成し、今回の発表会冒頭における社長小飼氏の言を借りれば、「再びトップバッターに打順が回ってきた」ことになる。このトップバッターが、小飼氏によれば、同社構造改革ステージ2の本格スタートの役割を担う、と言う。

つまり、新型CX-5は、2010年に発表した同社の独創的な内燃機関開発の発想に基づく新技術「スカイアクティブ」を初めて具現化してマツダ車を生まれ変わらせ、世にその評価を問うた新規モデルだった。だからこそマツダはこのモデルに「社運を賭ける」(当時の社長・山内孝氏の発表会における発言)覚悟をしたのだった。

社運を賭けたこの初代は成功し、順調に市場に受け入れられた。その成功を引き継ぐ役割を与えられたのが、今回の新型CX-5だ。それでは果たしてこの新型は初代と同じような成功を持続できるのだろうか。

その答を探るには、初代が成功した理由をまず、分析しておく必要がある。

先代が成功した最大の理由は、今さら言うまでもなく、マツダ独自の内燃機関の開発完成にある。それまでの業界ではきわめて困難というのが通説になっていた、ガソリンエンジンの高圧縮化に挑戦し、14という高い圧縮比(従来の実用車は10から11程度)をものにして、ガソリンエンジンの熱効率を従来の30パーセント程度から40パーセントにまで引き上げることに成功した。またガソリンエンジンと並行して開発していたディーゼルエンジンは、高圧縮化とは真逆の低圧縮化を目ざした。従来は17あるいは18以上の圧縮比が必要というディーゼルエンジンの通念に挑戦し、14という低い数字を叩き出し、ディーゼルの技術的な弱点とされていた環境性能と燃料消費性能の両立に成功、これが消費者に大いに歓迎された。

このガソリンとディーゼル両方のエンジン開発に共通していたのは、内燃機関の“熱効率の向上”という開発テーマだった。1997年に登場した初のハイブリッド乗用車プリウス以降、業界では電気やハイブリッドといった新しい動力源の開発に軸足を置く傾向に一石を投じ、この熱効率の重要性を業界に思い出させるという効果もあった。この技術的な突破口が、マツダのスカイアクティブを同社独自の新技術の名称として市場に根付かせる役割を果たし、ハイブリッドや電気といった乗用車の影響から一時低迷したマツダの技術水準に対する評価を高めたことに、疑いの余地はない。