1位はチャンギ国際空港、2位は仁川国際空港
世界の空港や航空会社の格付け調査を行っているイギリスの航空サービス調査会社スカイトラックス社は「世界のトップ100空港」を毎年発表している。2016年の世界の空港ランキングトップ10は以下の通り。
1. チャンギ国際空港(シンガポール)
2. 仁川国際空港(韓国)
3. ミュンヘン空港(ドイツ)
4. 東京国際(羽田)空港
5. 香港国際空港(中国)
6. 中部国際空港
7. チューリッヒ空港(スイス)
8. ロンドン・ヒースロー空港(イギリス)
9. 関西国際空港
10 ドーハ・ハマド国際空港(カタール)
このランキングは世界の約550空港を対象に、約1300万人の航空旅行客に実施した顧客満足度調査に基づいて作成されている。空港施設の充実度や安全性、交通アクセス、手続きの待ち時間など39項目の評価基準から総合的に評価される。日本からは3つの空港がランクインして、成田国際空港は惜しくも11位。日本の空港もそれなりに高く評価されているが、同じアジアのチャンギ国際空港や仁川国際空港にはかなわない。1位のチャンギ国際空港は4年連続で、2位の仁川国際空港は12年に1位になり、以降2位をキープしている。
チャンギ国際空港や仁川国際空港はアジア有数の巨大なハブ空港として知られる。ハブとは自転車などの車輪の中心部分のこと。ハブから放射状に無数のスポークが延びているように、世界各地に航空路線を持ち、それらをネットワークして旅客の乗り換えや乗り継ぎ、荷物の積み替えがスムーズにできる拠点空港のことを「ハブ空港」という。チャンギ国際空港も仁川国際空港も24時間空港で、空港までの交通アクセスは至便、空港施設も充実していて乗り換えなどの利用客が有意義に時間を過ごせるよう工夫を凝らしていて、そこがランキング上位のポイントになっている。
施設の充実ぶりは日本の国際空港も遜色ないが、成田の場合は騒音防止のためのカーフュー(離着陸制限時間)があって深夜23時から朝の6時まで離発着できないし、都心からの交通アクセスの悪さという大きな欠点を抱えている。
一方の羽田にしても近年国際化が加速してきたものの、依然として国内線の基幹空港としての役割が大きく、ハブ空港としての利便性を追求し切れていない。日本の空港がチャンギや仁川の後塵を拝して、ハブ空港化の流れから大きく立ち遅れた原因は、ビジョンなき日本の航空行政にある。首都圏にある羽田空港と成田国際空港の関係でいえば、かつての運輸省、現在の国土交通省は「羽田は国内線、成田は国際線」という「内際分離」を原則としてきた。これでは国内外の乗り換えができない。成田では強引な空港建設に対して反対運動が起きて、空港整備が大幅に遅れた。1本の滑走路で1978年に開港したが、暫定滑走路を経て2本目の滑走路が完全に使えるようになったのは実に30年後の09年のことだ。
この間、羽田では東京湾への沖合展開が進んで、あれよという間に4本の滑走路を確保した。新しい国際線ターミナルと第4滑走路の供用が始まった10年10月には、32年ぶりに台湾便以外の国際線定期便が就航して、羽田空港は再国際化に動き出す。それでも当初は昼間のアジアの近距離便が主体で、成田が飛べない深夜帯に限って欧米などへの長距離便を飛ばしていた。14年からは昼間でも国際線が発着できるようになり、24時間空港で交通アクセスのいい羽田は国際空港として再び注目度を高めてきた。