トヨタとスズキの提携は必然だった
トヨタ自動車とスズキが、業務提携に向けて動き出した。『図解! 業界地図2017年版』の巻頭で、出資先や業務提携先などを含めたトヨタ陣営の年間販売台数が1800万台を超える可能性について触れたが、現実味を帯びてきた。
トヨタを中心に、子会社のダイハツ工業と日野自動車、資本関係にある富士重工業といすゞ自動車、テスラ・モーターズ(米)、業務提携関係にあるマツダとBMW(独)、それにスズキの15年の四輪車販売台数を合計すると1800万台を超える。
ハイブリッド車や燃料電池車、自動運転車といった新技術を巡っては、自動車メーカーばかりか米国勢のグーグル(アルファベット傘下)やマイクロソフトなどIT企業を含めた主導権争いが繰り広げられているが、トヨタの技術を世界標準にするためには陣営の拡大は不可欠。トヨタとスズキの提携は、必然だったともいえるだろう。
環境技術で提携しているGM(米)とホンダの2社合計の販売台数は1400万台。3社間で資本関係を結んでいる日産自動車とルノー(仏)、ダイムラー(独)陣営には、三菱自動車が加わることで、販売台数は1300万台に迫る。
トヨタの経営指標を再確認しておこう。
今期は前期に比べ為替水準が円高で推移していることもあり減収減益予想だが、16年3月期は、売上高28兆4031億円、当期純利益2兆3126億円と過去最高をマーク。売上高、利益水準とも、世界一の自動車メーカーであることを国内外に示した。過去からの利益の蓄積を示す利益剰余金、いわゆる内部留保も17兆円に迫った。
ただし、リーマンショック前の2008年3月期との比較では、当期純利益こそ約35%上回ったものの、売上高は8%の伸びに過ぎなかった。