――これから家族が増えることを考えると、マイホームを買ったほうがいいのでしょうか。もちろん、ローンを組むことになるのですが。

まずは損得で考えてみてください。

昔はみんな、何も悩まずにマイホームを買っていました。当時は前提条件が今とは全く違っていたのです。

一度もリストラされないまま給与は上がっていくし、人口も増えていくので、マイホームが財産になる。明らかに買ったほうが得でしたよね。

でも今は、その前提条件がすべて崩れました。

――「家賃は払いっぱなしで何も残らないし、老後が不安」と妻に言われると、そうかな、と。

価値観は人それぞれ。マイホームを買うか、借りるかはもうカップルの人生観そのものです。基本的には、パートナーとよく相談して決めるのが一番です。

――転勤もあるかもしれないし……悩みますね。

ファクトから考えれば、需要と供給の関係で土地や家は安くなります。現在、800万戸も空き家があり、さらに人口が減っていくのですから。一人っ子同士が結婚したら、2軒の家を相続するわけでしょう。

――そうです。ただ住宅ローンの金利は昔より安く、お得感があります。

金利はこの先もしばらくは安いのではないでしょうか。それに、金利が安くても、長期のローンは理想的ではありません。

『自分のアタマで考えよう』などの著書で有名なちきりんさんのブログに「長期の住宅ローンは経済の成長期、すなわち『適度なインフレ率と、適度な成長率が長期にわたって続く時代』を前提に設定された仕組みです。デフレ、低成長時代に成り立つ仕組みとは思えません」とありましたが、その通りだと思います。

――出口さんなら、買わない。

はい。買わなければいつでも仕事を辞めることもできます。人間は身軽なほうがいい。買ってしまうと自分の人生を固定してしまうことにもなりかねません。先行きがどうなるかわからない時代に、人生を固定するというのは、僕は一番のリスクだと思っています。

――でも、僕の周りには買っている人が多いんです。

マイホームに対して「持ってこそ一人前」とか、「社会的に信用される」とか、昭和期の精神論で考えているからでしょう。

(構成=八村晃代 撮影=市来朋久)