決断に時間をかけると「これにしてよかった」

時間をかけて考える行為の意味を、脳科学的にとらえてみましょう。

人間の思考はネットワークになっています。たとえば「自分の仕事を今後どうするか」について考えようとするとき、まず思い浮かぶのが「継続する」「転職する」。この基本的な選択肢を第1層ネットワークと呼びます。

そしてここからもうひとつ先を考えるんですね。「転職する」だったら「今とは全く異なる仕事を選ぶ」「今と近い仕事を選ぶ」。そして前者だったらさらに「新しい世界で自己実現したい」「リスクが高い」……このような連想ゲームが続いていく。いわゆる「マインドマップ」と言えば、ご存じの方もいるかもしれません。

考えるという行為は、連想の枝葉を伸ばすことです。そして枝葉同士がくっついて、「あっ、そうか」と感じた瞬間、考えることが終了します。あまり考えないのは枝が伸びずに浅い第1層ネットワークで終わる状態。ゆっくり考えるのは、枝をずっと伸ばして2層目、3層目へと広げる行為です。どちらのほうが選択肢や可能性が増えるかは、みなさんわかりますよね。

また時間をかけて考えて物事を決めると、将来の後悔が少なくなります。決断に時間をかけると納得感が残り、「やっぱりこれにしてよかった」といいところを探しますが、即決したことに対しては、「あのときもっと考えればよかった」と悪いところを探してしまう傾向があるのです。

悩むのは嫌かもしれませんが、決して意味のない時間ではありません。ある程度悩んだほうが自己合理化できて、後々、モチベーションの維持が可能になります。