──12年に約2340億円で仏商社CFAOを買収したがその効果は。

【加留部】CFAOは西アフリカに事業基盤を持ち、120年以上の歴史を持つ。同社との協業によって、当社はアフリカ54カ国中、リビアを除く53カ国をカバーできている。当社の出資比率は約97%だが、CFAOの文化や人材を大事にしたいと考え、独立性を尊重した。トップには従来と同じくフランス人を据え、副社長に当社役員を派遣して彼らとの信頼関係を築いている。CFAOは仏小売り大手カルフールと西アフリカ8カ国における小売事業展開で提携しているが、昨年12月に第1号としてコートジボワールに大型ショッピングセンターを開業した。

──旧トーメンとの合併から10年だ。

【加留部】両社の社員を融和させるため、お互いのよさを認め合うことを重視した。例えば、合併後の1年間、飲み会費用の一部を会社が負担する「維新伝心プロジェクト」を行い、両社の社員が交流を深めることを狙った。旧豊田通商出身者は、任された仕事をしっかりやる農耕民族型。旧トーメン出身者は、自ら商材を見つけ出して顧客を開拓する狩猟民族型だ。どちらの人材にも利点があるが、両者が学び合うなかで、両方のよさを持ち合わせた“ハイブリッド型”も生まれている。

豊田通商社長 加留部 淳
1953年、神奈川県生まれ。76年横浜国立大学工学部卒業後、豊田通商入社。2004年取締役、08年常務執行役員などを経て、11年より現職。
(河合起季=構成 大泉 裕=撮影)
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