新興国市場やエマージング市場に続き、あらたな市場に注目が集まっている。それが「フロンティア市場」だ。
フロンティア市場は、明確な定義はないが、中・低所得国で構成され、アフリカや中南米、中東、アジアなどの経済成長率は高いが流動性の低い市場を指す。ベトナム、バングラデシュ、ナイジェリアなどの国名が挙がることも多いが、中東国家もフロンティア市場として含まれることが多い。
野村総合研究所公共経営コンサルティング部グループマネージャー・小池純司氏は、「われわれはフロンティア市場をアフリカ・南米と見ている」と話す。強みは高い成長率。特にエジプト・モロッコ・アルジェリアなどの成熟国、南アフリカ・ケニアなど潜在的成長率が高い国家など、注目すべき国家が多い。世界市場との相関性も低く、分散投資先としても選択肢の一つとなる。
ただし、流動性の低さや紛争、人件費の高さ、国内インフラの悪さなどリスクは非常に多い。特に流動性の低さは問題で、今年1月、米金融取引業規制機構(FINRA)がフロンティア市場への投資を慎重にするよう促したほど。
投資する際の注意点は。「アフリカ企業の私募債に投資するというのはそもそも難しい。段階的投資として、アフリカに全面的に投資しているインド企業と連携したり、M&Aで日本企業が現地に出資するといったケースがある。後者はヤマハ発動機、日立建機、パナソニックなどがすでに行っているが、そうした企業に投資するというのも一つの手ではないか」(小池氏)。
(ライヴ・アート=図版作成)