感じるままに話しては一流にあらず
聞き手を不快にさせるか、させないか。それを分けるのは、相手の気持ちになって発言しているかどうかです。
私の知るエリートが、海外の空港でトラブルに見舞われました。予定した便が欠航になり、荷物も行方不明になってしまったのです。他の乗客は航空会社のスタッフに怒鳴り声で詰め寄っています。しかし、彼の第一声は違いました。
「大変だね。欠航のたびにクレームの嵐だと、僕なら身が持たない。それにしっかり対応している君は素晴らしい。ところで、大変なところ申し訳ないのだけど……」
このように切り出し、スーツがないと会議に出席できないことを伝えたのです。すると、スタッフが上司にかけあってスーツ代として3万円を出してくれることに。異例の対応を引き出せたのは、知人がスタッフの気持ちになって話したからでしょう。
相手の気持ちになれば、相手を不快にさせない言葉を自然に選び、姿勢や表情も思いやりのあるものになるでしょう。頭に浮かんだことをそのまま話すのではなく、いったん相手の立場になって考える。それができるのが真のエリートではないでしょうか。