経営者、役員、医師、弁護士……数多くの一流が集う銀座の高級クラブで、その言葉に長年耳を傾けてきたオーナーママが気づいた話し方の特徴とは?

残念なエリートは人の負の感情を引き出す

エリートと呼ばれる社会的地位の高い方の言葉は、ときに人をイライラさせることがあります。

その原因としてまず考えたいのは、言葉を受け取る側の問題です。日本は、みんなが一緒であることを望む村社会です。そのため誰か1人が秀でたり目立ったりすると、それを引きずりおろしたいという集団心理が働きます。簡単にいえば、嫉妬心が強いのです。

日高利美(ひだか・としみ)
銀座ルナピエーナ・オーナーママ。18歳で銀座のママになるべく働き始め、一流ビジネスマンを接客することで、マナー、気配りの大切さを学ぶ。現在は複数の会社を経営する実業家として活躍中。著書に『銀座に集う一流の午後6時からの成功仕事術』がある。

エリートの話にカチンとくるのも、根底に聞き手の嫉妬心があるからです。自分より収入が低く学歴のない方から同じ言葉を投げかけられても、それほど気にならないはずです。一方、エリートに対してはもともと嫉妬心があるだけに、ちょっとした言動が引き金になって負の感情が表に出てきてしまう。それがエリートの言葉が人をイライラさせるメカニズムです。

しかし、受け取り側の問題だからエリートは気にしないで話せばいいというのも違います。エリートが負の感情を刺激しやすいことは事実です。だからこそ話し方についても、聞き手の心情に配慮することが大切です。

人をカチンとさせるフレーズをいくつか紹介しましたが、言葉選びと同様に大切なのが話し方です。

「いまの仕事は楽しい?」
「楽しいですよ」
「そう、頑張ってね」

この会話自体に、人をイライラさせる要素はありません。ただ、ふんぞりかえってニヤニヤ笑いながら質問されたら、印象は大きく変わるはずです。

「(事務の仕事なんてつまらなさそうだけど)いまの仕事は楽しい?」
「楽しいですよ」
「そう、(せいぜい)頑張ってね」

聞き手はこのように補完して不快に感じるでしょう。姿勢や表情、声のトーンやスピードは、言葉以上に雄弁です。そこまで気を配れてこそ一流なのです。