元兵庫県議の支出チェックは正しかったか
政務活動費の不自然な支出で思い出すのは、詐欺などの罪に問われた元兵庫県議の事件だ。号泣しながら釈明した記者会見での姿が記憶にある人も多いだろう。
マスコミの報道によると、起訴状では、2011年度~2013年度に計344回の日帰り出張や、「切手代」としての購入分、文具の購入などとして費用を架空計上し、政活費約913万円を詐取したとされる。
この元兵庫県議に対して、「組織としてどのようなチェックが行われていたのか、非常に気になる」という経理担当者が多かった。
もちろん彼らは県議を擁護するつもりはない。しかし組織としてのチェックがきちんと行われていれば、起訴にまでは至らず、支出額もこれほど膨らまなかったのではないかというのだ。
たしかに年間別に元兵庫県議の不正支出額を見ると、年々膨らんでいることがわかる。初めはおそるおそる書類を提出していても、何もチェックされないということが分かって不正が拡大したと推察できる。
政務活動費は、そもそもが他人のお金であるから議員が自らを律することは当然である。しかし金銭を管理するのが苦手な人もいるのも事実である。私自身が管理職当時に、お金の関係で問題を起こした社員とのやり取りで「どんぶり勘定になってしまう人だなぁ」と思わずつぶやいたことを覚えている。
市議会事務局に経理担当者が入れば、政活費の不適切な取り扱いを正すことのみならず、議員が経費支出のダークサイドに陥ることを防ぐ役割を担うことになる。同時にその不祥事によって管理責任などを問われる仕事仲間を守ることにもつながりそうだ。
ベテラン経理担当者が事務局に入って、議員に対して照会を行い、注意を促すことは大きな効果を持つと思われる。