リオ五輪が終わった後、日本の株価はやや弱含みで推移すると、木村氏は予測する。秋にイタリアで行われる憲法改正の国民投票をはじめ、先行きの不透明感を連想させる政治イベントが世界的に続く結果、リスク回避的な円高トレンドがしばらく続くだろうというのがその理由だ。
「それに備えるには、たとえ円高に振れても業績の変動が少ない、内需型のBtoB銘柄が狙い目だと思います。今のうちに投資する銘柄をいくつか選んでおいて、市場全体が下がったところで安値を拾っていくのがいいでしょう」
では、売るタイミングはどうすればいいのか。「基本的には、優待や配当にとらわれすぎず、買値よりある程度上がればいつでも売っていいと思います」と木村氏。「でも、その企業が好きでずっと応援したいとか、成長性があると考えるなら、そのまま持っていていいと思います。権利確定月の違う銘柄をいくつか保有し、代わる代わる配当や優待がくるようにすれば、ただ持っていても楽しみがありますよね」。
木村氏が最近会ったアマチュア投資家が、こんな話をしていたという。
「僕ら夫婦は年金生活で、あまりぜいたくができない。でも株をやっていると、映画の券やあちこちの割引券、いろんな商品の詰め合わせが優待で送られてきて、それが貴重な文化的イベントになっているんです」
そんな楽しみ方もあるのが、優待に着目した株式投資なのだ。
▼買ってよい優待株の条件
[本業基盤が堅牢である]
ニッチ市場で国内トップなど、事業環境が安定していること。1株当たり純利益(EPS)の安定度にも注目。
[為替の変動に強い業態]
円高の進行があまり業績に直結しない、内需型のBtoB銘柄が、先の見えにくい相場では狙い目
[配当力とプレミアム優待]
きちんと利益を出し、それを株主に分配する姿勢があること。プレミアム優待は長期保有株主重視の証し。
[株価が割安でチャートが平たい]
資産や業績に比べ株価が割安で、過去の値動きも安定している会社は、暴落リスクが少なく長期保有向き。
株式評論家。1級FP技能士、認定国際テクニカルアナリスト。生活経済、個人の資産運用に強いエコノミストとして、個人投資家向けに資産運用プランや生活経済情報を発信。早稲田大学大学院ファイナンス研究科(専門職MBA)修了。日本IRプランナーズ協会理事長、くらしとしごと生活者フォーラム代表理事。