欲しい優待品を出す銘柄探しは、YAHOO!ファイナンスをはじめとする株式系ウェブサイトの、優待品のタイプ別に検索できるコーナーが便利だ。もちろん、その企業が投資に値する会社かどうかのチェックも忘れずに行いたい。
「理想を言えば『株価が割安で成長性がある会社』がいいのでしょうが、この成長性の見極めが素人には難しい。将来有望と話題になっている分野、今でいえばポケモンGOに使われている拡張現実(AR)技術に関連するようないわゆる『テーマ銘柄』も、競争に勝って成長し続ける企業はごく一部にすぎません」
そこでおすすめなのが、一般消費者向けではなく企業向けのビジネスに特化した「BtoB銘柄」だと木村氏は言う。長期にわたって株価チャートが安定していて、業績は堅実、技術革新にもきちんと努めている会社。ニッチ分野でシェアトップを確保しているようなら、なおいい。
「たとえば、業務用食品卸の尾家産業、紙を作るときに必要なフィルターの世界で国内シェア1位の日本フイルコン、繊維商社のタキヒヨー、上場企業のIR活動の支援で大手の宝印刷やプロネクサスといった企業ですね」(木村氏)
円高・株安にも強い投資先とは
経営状態を判断するいい材料の1つは、1株当たり純利益(EPS)の推移だ。「輸出入関連企業では為替の影響を受けやすい数値ですが、長期投資を前提にするなら、まずこの数字の動きをここ何年分かチェックしましょう。EPSが増えそうなときは設備投資をし、減りそうなときはリストラをして、最終的な決算で極端な増減が起きないようにする。そういうことをタイミングよくできる会社は経営が上手で、安心できる投資先といえるでしょう」。
逆に、優待につられて投資してはならない会社もある。「優待は豪華なのに配当がない、あるいは成長性がないのに数字の上では利益が出ている会社は要注意です」と木村氏。
「覆面取材の目的で、成長性があまりない業界なのに業績も利益も右肩上がりの会社にあえて投資したら、その数字が粉飾で、最後は倒産されたことがあります。結局経営陣が、優待をエサに個人投資家に株を売り抜けた形ですね」。
テレビショッピングの会社にやはり覆面取材で投資し、1万円分の優待商品をもらったら、使い勝手がひどく悪かった例も。「案の定業績が上がらず、その後株価は半値に。高額優待に目がくらむと危険な例ですね」と、木村氏は苦笑する。