AI・ロボットで変わる飲食

外食とテクノロジーの未来を考える「FOODiT TOKYO 2016」というイベントが先日開催されました(http://foodit.tokyo/2016/)。私はその中の「10年後の外食産業」について検討する分科会メンバーの1人だったのですが、そこで取り上げた内容の一部をここでご紹介したいと思います。

近頃はどこの業界でもこうした未来予測が花盛りですが、その背景にあるのはAI(人工知能)の進化です。AIの発達により、それまで人間がやってきた仕事が機械に奪われるという脅威がまことしやかに語られており、雑誌でも「○○年後になくなる仕事」という特集をよく見かけます。

まず頭の整理のために、「飲食店」は果たして何を顧客に提供しているのかを考えてみると、「飲食物」「サービス」「場」という3つの要素に分解することができます。それぞれに対して、テクノロジーがどんな影響を与える可能性があるかを順に見てみましょう。

まず「飲食物」ですが、これには「調理技術の進化」が大きく関係してきます。近年、家庭用調理家電の進歩が著しいですが、業務用領域でも同様です。中には、料理人の動きをトレースするように学習し、それを再現する技術も生まれています。すでに寿司を握るロボットや、チャーハンを勝手に炒めてくれる機械など、単純な機能を搭載したものは店舗で実用化されています。

それらのはるか先をいく「超高性能調理マシン」が登場するのは間違いありませんが、それは思いのほか短期間のうちに、安価で供給されるようになるかもしれません。すると「調理」に携わる人材のうち、機械で代替可能な技術しか持っていない人にとって、仕事を奪われてしまう危険性は高いと言えます。