ここで重要な要素となるのが「送り手」です。営業の現場では「高価なスーツを着ろ」などと言われることがあるそうですが、これは受け手の印象を操作するのに効果的です。服装だけでなく、大学教授や医師、弁護士などの肩書も有効でしょう。
これらは「ハロー効果(Halo Effect)」と呼ばれ、広告の世界では古典的な手法です。なおハロー(Halo)とは聖像の光輪や後光を意味します。
たとえばテレビCMでは、よく白衣を着た人が歯ブラシや洗剤などの商品を勧めています。白衣を着ているからといって、医師や科学者であるとは限りません。でも印象は変わります。
内容や手段の伝え方としては、「ローボール技法」というテクニックがあります。
キャッチボールでも、いきなり強いボールを投げつけられると受け止めるのは難しいですが、弱い低めのボールから徐々に強めていくとキャッチしやすくなります。それと同じ原理を心理的に用いて、最初は都合のいい話や受け止めやすい問いで受け手の「YES」を引き出し、契約の最終段階になって都合の悪い話をぶつけてくるのです。
図2では携帯電話の勧誘を例に説明しています。同じようにビジネスの商談でも、小さな納得を積み重ねて受け手の判断力を弱らせていき、最終的に大きな成果を騙しとる。そんなやり口を誇る人もいるでしょう。それはウソではなくても、「騙し」といえるのではないでしょうか。