精神的な疲れを軽減する有効な方法
所属するワイルドナイツでは、コーチやトレーナーを含む20人以上のスタッフが、選手たちのフィジカルとメンタル両面のケアに当たっている。
「疲労回復のコツは、素早いクールダウン」と教えてくれたのは、チーフメディカルトレーナーの千葉泰成氏。アイシングなどの体を冷やすケアは、痛みなどのストレス刺激を和らげ、疲労物質の蓄積を妨げる効果があるといわれている。
そこで、選手に勧めているのが「交代浴」だという。温水と冷水に交互に入浴する方法だ。まずは温水で血流を上げ、冷水により一度血流を下げる。そこからさらに温水に入ると、ただ温水に入るだけの場合より一層、血管が刺激を受け、血流が豊富になるという。
「一般のビジネスマンは、浴室に氷水を張った桶を置き、足だけでも交代浴を実践してみてください。疲労回復の効果を実感できるでしょう」
主将の堀江翔太選手は、ほかにもストレッチやマッサージで、血流を良くし疲労回復をしているそうだ。これらのケアは、慢性的な疲労の原因になる自律神経系などの内部環境の失調にも効果があるため、理に適った疲労回復術といえる。
一方で、精神的な疲労についてはどうか。同チームでは選手のメンタル状態は主にコーチ陣がチェックをしているそうだ。
かつてオーストラリア代表の監督などを歴任したロビー・ディーンズ監督は、選手がいつでもベストパフォーマンスを発揮するために精神を調整する方法は、「ルーティン化」だと語る。
「私たちはチームと選手のスケジュールのすべてをルーティン化しています。練習の強度は時期によって上下しますが、その幅は極力少なくなるようにします。身体的だけでなく精神的にも、“変化”が一番のリスクだからです」
ロビー・ディーンズ監督は、休息を練習と同等に重要なものと認識している。ハードワーク=休息なしと誤解されがちだが、それではパフォーマンスが低下してしまう。実際、ワイルドナイツの練習計画表には、週1~2回の休息日が設定されていた。