世界30カ国以上での販売実績
ヤマハ発動機が第3の移動体と位置づけているLMW(リーンニング・マルチ・ホイール)「トリシティ」の第2弾がこの9月にいよいよ登場する予定だ 。まず欧州を皮切りに、日本やアジアなどでも順次投入していく予定だ。
トリシティは2014年4月に生産地であるタイで発売した3輪バイクで排気量は125cc。現在、日本や欧州、アジアなど世界30カ国以上で販売されている。
その特徴は前に2つ、後ろに1つの車輪があり、独自のLMW機構によって旋回時に前2輪が車体と同調して傾くようになっていることだ。このことによって、2輪車に乗っているのとほとんど同じ感覚を味わうことができる。しかも、3輪車であるため、安定性は抜群で滑りやすい路面でも転倒する心配は少ないと感じる。
そもそもトリシティはバイクを憧れの存在と思いながらも、運転が難しく、自分には乗れそうもないと諦めていた人に乗ってもらう目的で開発したバイクだった。特に初代モデルは「女性でも扱いやすい125cc」をテーマに、新規ユーザーを取り込むことを狙った。
「欧州は3輪バイクに対する認知度も高く、販売も好調ですが、新たな市場開拓となる日本やアジアは苦戦している状況です。初年度に世界で1万7000台販売する目標を立て、それを達成できたのですが、まだ市場拡大の余地はあると思う」とプロジェクトリーダーの高野和久氏は話す。
同氏は世界最高峰ロードレースのMotoGPマシンである「YZR-M1」の開発を長年担当してきた人物で、トリシティを開発する際、身近なターゲットカスタマーとして免許を持っていなかった自身の妻を想定したという。しかし、新規のユーザーは、まだ獲得できる余地があるという。
「既存の125ccモデルよりも新規の割合は多いのですが、やはり日本では免許の壁というのがあって、まだ新規の取り込みに満足できていないというのが正直なところです。ただ、大型バイクに乗っている人が買い増しで買ってくれるケースが多く、それが予想の倍ぐらいありました」