西武王国と堤家の凋落に対する自責の念

セゾングループの総帥・堤清二氏が亡くなって、もう3年になる。西武王国を築いた実業家で政治家でもある父・堤康次郎氏との葛藤、異母弟で西武鉄道グループを率いた義明氏との怨念のドラマは、いくつものすぐれたノンフィクション作品に描かれてきた。それほど、この一族と兄弟は世間の耳目を集めたといっていい。

『堤清二 罪と業』児玉博(著) 文藝春秋

おそらくそれは、1964年に康次郎氏が死に臨んで、後継者に清二氏ではなく、義明氏を指名したことと無関係ではないだろう。西武鉄道、プリンスホテルを継承した弟に対し、兄が受け継いだのは、当時は東京の場末の街・池袋にあった西武百貨店だけだった。そんな仕打ちが、同じ血を引いているにもかかわらず、決して交わることのない骨肉の争いを生んだ。