『孫子』の愛読者同士が戦ったらどうなるか

『米軍式 人を動かすマネジメント』(田中靖浩著/日本経済新聞出版社)、『黄昏三国志 孔明以後の英雄たち』(守屋洋著/KADOKAWA/中経出版)

さらに、軍事と経営とを結ぶ内容として『米軍式 人を動かすマネジメント』(田中靖浩 日本経済新聞出版社)。先が見通せない、つまり計画など立ててもなかなかうまくいかないご時世に、願望のような予算を組んで、「必達」などといった根性論を振り回す(ないしは、振り回されている)皆さんにぜひ手に取って頂きたい一冊。

軍事の世界では、うまく回らないPlan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善)のPDCAサイクル(巻末にある伊藤大輔氏の解説によると、動詞と名詞が混ざっているのは、外来の概念を元に、日本人の手により考え出され育った概念だからであるらしい)ではなく、Observe(観察)-Orient(方向付け)-Decide(決断)-Act(行動)というOODA(ウーダ)方式へと移行している。これは筆者なりに言い換えると、「臨機応変な対処」の実践法ということになる。

さらに、ちょっと毛色を変えて『黄昏三国志 孔明以後の英雄たち』(守屋洋 中経出版)もお勧め。本書には読み方がある。中国では、戦国時代の後半くらいから『孫子』が出回り、それ以降の名将や偉人はほぼ100%、『孫子』が愛読書という状態になっている。『三国志』の時代はその典型で、曹操も諸葛孔明も、孫権もみな『孫子』の愛読者。つまり、『孫子』のような優れた戦略書でも、それを読んだ者同士が戦ったらどうなるのか、その一つの答えがここにあるのだ。それは結局、孫子のいう「不敗」の態勢を守り切れなくなること。では、なぜ「不敗」を守り切れなくなるのか――それは読んでのお楽しみである。