「護憲」「改憲」論争が消える日

東シナ海において、日中の緊張状態がヒートアップしている。これを日本が南シナ海問題へ介入したことに対する報復と捉えるのは、必ずしも正しくない。中国にとっては、やはり台湾や尖閣諸島が存在する東シナ海が「本当の狙い」だったのである。

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中国が今年3月、南シナ海に送り込んだ船団が漁船87隻と海警2隻だったのに対し、東シナ海には300隻近い漁船と15隻の海警を投入していることからも、中国の本当の狙いが東シナ海であることは明らかである。中国による南シナ海への進出は陽動にすぎない、という見解は以前から米国でもあり、筆者も過去に指摘していたところだが、現実のものとなってしまったと言えよう。

こうした状況で危惧すべきは、不測の衝突である。何故ならば、不測の衝突によって日本の海上保安庁や、中国海警局の職員に死者が出れば、両国の世論は間違いなく過熱化するからである。そして、この衝突が引き金となり出動した、あるいはせざるを得なくなった自衛隊と人民解放軍が直接衝突し、そこでも結果として死者が出れば、収集がつかなくなる。両国、特に中国側は、体制維持のために相手国に対して妥協する余地がない事態となってしまう。

かくなる状況下で、日中間の不測の事態を最小限の衝突で平和に導くことができるのか。そしてそれが不可能であるならば、日本の政治的な勝利で終結させることができるのか。護憲論や改憲論のような神学論争ではなく、具体案を提示してくれるのが以下に挙げる2冊の本である。