経営者の身になにかあれば、それはすぐに「経営問題」に発展する。世界一の自動車会社のトップは、そのリスクを承知で、過酷なレースに出続けている。その目的は、「現場」から会社を変えること。孤立無援の状況で、「創業家」の運命を背負った男の覚悟を、ドイツで聞いた──。

では、ガズーの活動が「トヨタの本流」へと変わり始めたとすれば、いま、彼らはニュルブルクリンクという「現場」から何を得ようとしているのだろうか。

豊田はこの活動のテーマを、「人を鍛え、クルマを鍛える」という言葉で表現し続けてきた。まず後者の「クルマを鍛える」という意味で象徴的だったのは、発売前の「C-HR」の存在だろう。