期待することを明確に定義する

あらゆるレベルのマネジャーにコミュニケーションをとる責任があるという点では大半の考えが一致しているが、それが具体的に何を意味するかとなると曖昧な点が多い。一つの解決策は、それぞれのマネジャーに期待されるコミュニケーションの内容を、会社の方針のなかで、もしくは──こちらのほうがより望ましいが──成果評価プロセスの一環として文書のかたちで示すことだ。その文書には、あらゆる方向のコミュニケーションについてマネジャーに期待されることが明記されていなくてはいけない。

[1] 上から下へのコミュニケーション

企業はえてして、情報が一つのレベルから次のレベルへと順次伝達され、組織全体にうまく行き渡るものと思っている。ところが、細かい事実やその程度は、伝達されるたびに変わるものだ。伝わるタイミングもバラバラで、ある部署の低位の社員が、他の部署のもっと上位の社員よりずっと早く情報を知ることもある。

より望ましいアプローチは、刊行物やイントラネットの掲示板を使って、全社にメッセージを送ることだ。そうすれば、上から下へのコミュニケーションにおけるマネジャーの役割がもっと対処しやすく、焦点の絞られたものになる。

必要な情報を集める時間を社員に与えよう。

それはすなわち、社員が就業時間中に会社の刊行物を読んだり、少なくとも週に一度はイントラネットのサイトを覗いたり、ミーティングに参加したり、ビデオプログラムを見たりすることを奨励するということだ。マネジャーのあなたがこうした活動を非生産的だとして抑え込んだら、こうした情報を自分自身が提供しなければならなくなり、結局は自分の負担が増えることになる。

部下に情報を吸収する機会を与えたら、それから先のあなたの役割は、その情報がその部署にとってどういう意味を持つかというコンテクストを部下に提示することだ。大きな全体図をできるかぎり噛み砕いて、あなたの部下が全体図の目標や価値やプログラムに貢献するために実行できる、具体的な行動にして伝えるのである。

発信する側にとって最も便利なコミュニケーションチャネルを使うのではなく、受け手の都合を考えて、メッセージがきちんと「受け取られる」可能性が最も高いチャネルを選ぶ必要がある。