実は難しいうなぎの「差別化」

実は今、「新しいうなぎ屋さんをつくる」というプロジェクトに関わっています(私の本業は飲食店のプロデュースです)。これが想像以上に難易度が高くて、毎日頭を悩ませています。というのも、既存のうなぎ屋さんを比べてみると、そこには明快な差がないことに気付き、まずは困惑してしまうからです。

もちろん、店によって「おいしい・まずい」「高い・安い」「有名・無名」などの違いはあります。しかし、文章や写真を通じてそれぞれの店の違いを伝えられるかというと、一筋縄ではいきません。食材としてのうなぎはほぼ100%に近いくらい養殖で、一般人にはそれぞれの差はなかなかわかりません。強いて違いをあげるならば、国産か(国内で養殖されたのか)、中国産かという程度でしょう。

メニューも蒲焼きや白焼きがほとんどで、それをお重に乗せるか丼に盛るかの違いです。松竹梅や並上などの違いは大抵の場合、うなぎの大きさの違いであって、クオリティの差ではありません。少し変わったところとしては、ひつまぶしがあるかどうか、あるいはうなぎの串焼があるかどうかという程度なのです。

皆さんがご存知のうなぎ屋さんのことを思い起こしても、それが他の店と比べてどういう違いがあるかは、なかなか説明できないのではないでしょうか。競合が横並びだったら差異化は簡単で、むしろチャンスじゃないかと思うかもしれません。しかし逆にそこが落とし穴なのです。