数字に強い専門職のエース社員が今回、特別に社外秘の資料公開してくれた。ほかでは絶対に見られない保存版だ。

リサーチも分析もエクセルで十分!

学生時代に数学を専攻したと聞けば、エクセルはお手の物かと思うが、「理論のほうばかりで、入社して一番手間取ったのがパソコンの操作です」と笑う大和証券投資戦略部の熊澤伸悟氏。証券会社のトップアナリストも、最初は数あるエクセル本から「目的別の操作がわかる」理想の1冊を見つけて独学した。

投資戦略部マクロ分析課上席課長代理 熊澤伸悟氏●日々の業務として、レポートはWord、顧客に配布する資料はPowerPointとソフトをつかい分けるが主幹業務はエクセルがメーン。OJTで作業に必要な関数などを調べ、徐々にレベルアップした。

日々、膨大なマーケットデータを読み込んで、日本株の需給予測を立てる。「リサーチ分析の大部分は、エクセルに頼っている」という熊澤氏がつかうエクセルは、もちろん私たちが日ごろ扱っているものと変わらない。最も重要な仕事は、日本株の動向を決めるとされる外国人投資家の売買の今後を見極めることだ。日本株のファンダメンタルズや海外の年金基金の日本株保有率などを基に、これから先、日本株の売買需給を予測し、レポートにまとめて国内外の機関投資家に情報提供している。

レポートに載せる図表やグラフはほぼエクセルで作成したもの。相手が見やすく、かつ自分が強調したいことが明確になるチャートを心掛ける。たとえば色づかいは、コントラストがはっきりした色を選ぶ。

「色相といって、色を円環状に並べたときに、相性のいい色をつかいます。たとえば同じスペースにグラフを2つ載せるときは色相が180度違うもの、つまり補色という正反対の関係にある色にします。たとえば黄色と青色とか緑色と赤色です」

ちなみに3つのグラフを同時に掲載する場合は、120度ずつの関係にある色を選択する。

エクセルでよくつかう機能はVLOOKUP。指定した範囲の中から検索値に一致するセルを検索し対応する列番号のセルの値を出力できる。

「世界の株式市場は休日が違う等の理由で、単にエクセルでデータを引っ張ってきてグラフにしても日時が合わない。そこで、VLOOKUPを活用し、日時を揃えるのです」