国内金融機関では唯一、純利益1兆円を誇る三菱UFJFG。だが、この1年間はアジアなど海外融資が伸び悩み、国内預貸収支も悪化している。こうしたなか、この4月に就任した小山田隆頭取に、トップバンクの舵取りを聞いた。
──日銀は、史上初のマイナス金利を導入。世界経済も不透明ななかでの新頭取就任だ。
【小山田】今年1月に導入が発表され、各種金利は全般的に低下したが、実需の喚起は期待したほどではなく、国内経済は萎縮した。世界経済にも逆風が吹いている。
だからこそ、積極果敢に対応していきたい。就任会見で「日本をマザーマーケットとする世界屈指の商業銀行」を目指すと申し上げた。お客さまに対し、ソリューション提案やアドバイザリー営業などを推進する。そして、存在感のあるグローバルバンクにしていく。
──三菱東京UFJ銀行は、今年1月で発足から10年経った。この期間は頭取の50代と重なる。振り返っての手応えは。
【小山田】前半は激動の5年間だった。2008年秋のリーマンショックでは、マーケットが大きく毀損した。当時、私は企画部長として、金融仲介機能を維持するために働いた。さらに、米モルガン・スタンレーに資金を注入し、日本における証券分野での合併会社の共同運営に結びつけている。危機のときこそ次の成長への礎が築ける。現在の我々のポジションが確立できた大事な時期だったことは間違いない。
後半の5年間は、グローバル展開のフェーズに入った。13年には、タイの大手であるアユタヤ銀行を子会社化した。メコン経済圏へのサービスも視野に入れている。アメリカでは2年前、傘下のユニオンバンクの下に米州業務統合を実施し、規模拡大を図れた。