低価格均一居酒屋は、万能ではない。そう思わせるのは、さくら水産を運営する「テラケン」(寺田謙二社長)が始めた250円均一居酒屋「にこにこ屋」だ。
社長に代わって寺島宏取締役が答える。
「三光マーケティングフーズさんの『月の雫』や『東方見聞録』なんかのように、もともと客単価の高い店が270円均一を始めると効果があるが、うちの『さくら水産』はもともと安い。客単価は2000円ちょっとです。例えば、250円均一の『にこにこ屋』は、冷や奴も250円で売ってますが、さくら水産は180円。「魚肉ソーセージ」(50円)などのメニューも均一居酒屋ではなくなって、さくら水産ファンは困惑気味」
全国に154店あるさくら水産の利用者の大半は、味と価格にシビアな中高年男性客だ。同店は均一ではないが、例えば、売り物にする刺し身は280円と380円に固定するなど、価格帯をはっきりさせてきた。低料金均一居酒屋の与える気安さをもともと備えているために、さくら水産の利用客には、均一居酒屋との差別化を図りにくい。
「年配者はなんかイメージが違うと思うんですよね」と、寺島氏。
さくら水産の原価率は、38%とかなり高いが、にこにこ屋は、均一料金以下のびっくりメニューをなくして数を絞り込んだため、比較すると「利益率は上がっている」と、いう。
「コスト削減のために始めた中国人のアルバイトの採用が、最近の中国人観光客への呼び水になっているようです。クリーニングも自分で洗濯してもらうようにしたり、地道な努力を重ねていきます」