<strong>天野雅博</strong>●総合プロデューサー<br>1967年、北海道生まれ。「居酒屋革命グループ」(野間和久社長)の総合プロデューサー。経営の核心となる焼酎・タバコ無料の企画で銀座を含め6店が営業中。仙台市にも進出予定で、年内50店を目指す。著書に『貧乏は完治する病気』。
天野雅博●総合プロデューサー
1967年、北海道生まれ。「居酒屋革命グループ」(野間和久社長)の総合プロデューサー。経営の核心となる焼酎・タバコ無料の企画で銀座を含め6店が営業中。仙台市にも進出予定で、年内50店を目指す。著書に『貧乏は完治する病気』。

料理を2品以上頼めば、何杯飲んでも焼酎が無料。「居酒屋革命」(野間和久社長)は、こんなサービスで話題を集めている。昨年12月に板橋区に1号店の「大山総本山」、それから8カ月余りで、銀座を含め都内に6店を開業した。この秋には仙台市にも進出する。焼酎に続き、生ビール3杯目から無料も一部店舗で始めた。

酒で儲けるはずの居酒屋が、なぜアルコールを無料にしたのか。企画した総合プロデューサーの天野雅博氏は「焼酎の原価は、今現在40円ちょっと。他店で1杯680円ぐらいで売られている焼酎だけど、それが無料になっている。10杯飲んでも400円。お客さん1人呼ぶのもたいへんな時代だから、広告宣伝費を還元して費用対効果を狙う」。

新しい居酒屋は知名度が低く、まず店に足を運んでもらうのが一苦労だ。請求金額の半分を無料にしても話題にはならない。それが、連日のように取材が殺到し、あっという間に全国区の知名度を獲得した。

「2品以上頼んだら無料ですが、すべてのお客さんが2品で済ませたら、1カ月で打ち切りです」

大山総本山では7月1カ月間で3万1000杯の焼酎が出たという。酒代を請求しないから、同月の売り上げは900万円。65席の居酒屋は満員御礼となった。

大手チェーンの世代交代を見れば明らかなように居酒屋業界は常に下克上にさらされる宿命にある。縮小する市場の中で終わりのない居酒屋戦争は続く。

※すべて雑誌掲載当時

(小原孝博=撮影)