「やってみる」は誰もができる
このポジティブ思考、もはや個人の才能ではないか。本には「誰もが再現可能なやり方」と書いてあるが……。
「才能といえば才能なのかもしれません。でも、だれもが子供の頃は、歩くとか、自転車に乗るとか、『やってみる』ことに夢中になっていたはず。だから、特殊な才能ではないんです。要は子供の頃の好奇心をずっと持ち続けることです」
なるほど「再現可能なやり方」と書いてあるのは、そういうことなのだ。
「やってみたという経験の積み重ねは、意思決定に役立ちます」。直感による決断を窪田氏は重視する。瞬時の判断力は経験の蓄積により研ぎ澄まされる。
2014年末には、自ら起業したアキュセラ・インクのCEO退任を、社外取締役から一方的に突き付けられた。だが、創業当初からの理解者である大株主に協力を仰ぎ、2015年5月、CEOに復帰する。その過程でも意思決定があった。
「訴訟もそうでしたが、あのタイミングで決断しなければ終わっていたという場面はいくつもありました。周りの人に、本当にその選択でいいんですかと言われたけれど、経験と直感からこっちでいいんですと決断しました。いま思えば人生を賭けたチェスゲームをしていたようだった」
「なりたい人」になるには「やってみる」こと。本書を手にとってみると、それを認識できる。