こちらの主張を疑いながらも妻の激高ぶりがやや収まったように見えたら、今度はこう殊勝な口ぶりで付け足すのだ。
「結果的に、今回のこと(浮気)は、俺たち夫婦にとってよかったかもしれない」
浮気がよいはずはないのだが、「こんなこと言うのは不謹慎だけれど、改心して、俺にとって君がいかに大切な存在かよくわかったんだ。(浮気が)バレてむしろ、よかったと思えるほどだ」と続ける。
「浮気が妻への愛情を取り戻してくれたんだという、盗人猛々しい物言いです。よく吟味すると身勝手な論理ですが、怒り狂っている妻も冷静な状態ではないので、案外効果あるかもしれません」(同)
そしてさらにダメ押し。今度はしょんぼりした表情でこう語り、浮気責任を第三者に押し付ける。「男っていう生き物は本当にダメな存在だね」
浮気をオスという性のせいにして、責任を曖昧化させるのだ。「ホント、男ってバカよね」などと妻が応じてくれたら、大成功だ。
でも待てよ。それで丸く収まるほど甘いわけがない。女性が「許す」まで男性は努力を続けなければならない。
作家の内藤みかさんはこう語る。
「奥さんが精神的に元の状態通りになるには、ひたすらご機嫌をとるしかありませんね。例えば、知人男性は浮気発覚後、ずっと『今から帰る』コールを終業後に奥さんに必ず送って、仕事場から自宅へ直帰していました。それまでの帰宅は夜遅く、家庭を顧みない態度を一変させて、懺悔の気持ちを行動で表したのです」
もちろん帰宅時は手ぶらではいけない。女性が好む赤系の花を買ったり、スイーツを手みやげにしたり。とにかく誠意を見せ続ける。
「あからさまなご機嫌とり作戦ですが、それでいいのです。最初はベタなアプローチに『そんなことで許すとでも思っているの?』と奥さんはキツく当たるかもしれませんが、人は永遠に怒り続けることはできません。怒るのは疲れるし、怒っている自分自身が嫌になってしまうのです。それに、何週間も“三顧の礼”をされると、徐々に『しかたないか』という気持ちになるのです。とにかく、仕事に出ても君のことを忘れていないよ、一番好きなのは君だよ、という気持ちを表せば関係は修復に近づくはず」(内藤さん)
単純なご機嫌とり作戦も、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」のだ。