総合商社「冬の時代」が到来したのか
世界市場を襲った「資源デフレ」の直撃を受け、総合商社の2トップ、三菱商事、三井物産が沈んだ。しかも、そのダメージは半端でない。海外資源開発投資で巨額の減損損失を計上し、2016年3月期の最終損益はともに両社の歴史始まって以来、初の赤字に陥る轟沈だ。両社に限らず、資源バブルに沸いた総合商社は、再び「冬の時代」に見舞われかねない。
この非常事態をあざけるように、非資源ビジネスへの注力が功を奏し、総合商社で初の最終利益額トップに躍り出る伊藤忠商事の高笑いが響いてきそうだ。700億円、1500億円。三井物産、三菱商事がそれぞれ3月23日、24日と相次ぎ発表した16年3月期の連結最終損益(国際会計基準)の赤字予想額だ。前3月期にそれぞれ3064億円、4005億円の黒字を計上したことを踏まえれば、資源バブルを謳歌してきたわが世の春から奈落の底に突き落とされた格好だ。
両社の赤字転落に共通するのは、資源価格の下落を背景にチリの銅開発やオーストラリアでの液化天然ガス(LNG)開発などで巨額の減損損失を計上することにある。三井物産が2600億円、三菱商事に至っては4300億円の減損損失を計上し、従来の黒字予想を吹き飛ばし、ともに不名誉な初の赤字に追い込まれる。
資源関係については、両社以外にも16年3月期に住友商事が1700億円、丸紅も1200億円の減損損失をそれぞれ計上するなど、総合商社は資源デフレで大きな痛手を負っている。これは、バブル経済崩壊に伴い投資先の資産デフレが加速し、巨額の不良債権を抱え、下位企業が再編に追い込まれた「冬の時代」の再来を、まさに思い起こさせる。