フラガールOGの再雇用制度を創設

常磐興産が運営する常磐音楽舞踊学院では、18歳の高卒女子を社員として採用し、ダンサーを自前で一から育てる。プロのダンサーを呼んでくるよりも、地域で育った可憐、純真な彼女たちが演じるショーこそが、ハワイアンズのコアコンテンツだと井上は考えた。

そこで模型製作のトップ企業、海洋堂の社長のもとに1人で訪れ、フラガールの精巧なフィギュアの製作を依頼。また、フラガールをモチーフにしたハワイアンズ初のゆるキャラ、「CoCoネェさん」も手がけるほか、フラガールのDVDやカレンダー、フォトカードなど、フラガール関連のコンテンツ制作を次々に進めていった。


井上は、ハワイアンズ最大の資産であるフラガール関連のコンテンツ制作を進めている(売店で販売中のフラガールのカレンダー)。

並行して、過去のフラガールの歩みを記録に留めるアーカイブの作成にも取り組んでいる。井上が就任して驚いたのは、これまでのフラガールの歩みを詳細に記録したものが何もなかったことだ。しかしフラガールこそがハワイアンズの過去と現在、そして未来を繋ぐ重要なカギを握っていると考えた井上は、過去の演目を記録に残し、衣装や小物などの現物を当時の関係者らにあたって発掘する作業を進めている。

その一方で、フラガール卒業生の再雇用制度も導入した。フラガールの現役生活はおおむね10年。平均28歳で結婚退社し、その後は会社との縁が切れてしまうのが通例だ。井上はこの卒業生も会社の財産と考え、フラガールOGの再雇用制度「OHANA制度」を15年に導入した。

「ダンサーがショーの魅力をお客様に伝えると説得力があります。それに笑顔や身のこなし方のよさは一流の営業マンにも劣りません。今後、施設内で新しいサービスやソフトをつくっていくうえで貴重な人材になると思いました」(井上)

来客のウエルカムのときに、案内役をしていたムームーの女性も、その一人だ。登録したフラガールOGたちは、ワークショップの案内やショーの有料席のチケット販売ブース、フラダンス教室などで活躍している。