古い一戸建てなどを売った場合に譲渡益が出ると、所得税の対象になる。ただし、譲渡益3000万円以下なら心配無用。「3000万円特別控除」の特例で非課税になるからだ。

譲渡益が出た場合の特例

譲渡益が出た場合の特例

問題は3000万円を超えるケース。たとえば相続で取得した場合、取得費は相続時の評価額ではなく亡くなった人が取得したときの価格になる。古い話なので不明のことも多いだろう。ところが、「取得費が不明の場合は譲渡価額の5%を取得費とみなす」という厳しいルールがあり、そうなると譲渡益が3000万円を超えかねない。

この場合は、図のように譲渡益3000万円超6000万円までを税率14%とする「低率分離課税」を合わせて使うか、「居住用財産の買換え特例」を使うか、どちらが有利かを検討する。居住用財産の買換え特例とは、一定の条件で住宅を買い替えた場合に、買い替えた財産に取得費を引き継がせて譲渡益の全部または一部をなかったものとみなす方法。いわば、次に売却するときまで問題を先送りする「課税の繰り延べ」だ。今後はもう売らない、または不動産価格の大幅下落が予想されるときは買換え特例が有利(制度に変更がなければ)といえそうだ。

(取材・文=有山典子)