問われる“不倫”大阪府連会長の手腕
「また負けた。下手をすれば現職の当選すらも危うい」。1月24日投票の大阪府熊取町長選で敗北し、危機感を強める自民党大阪府連の関係者は吐き捨てるように語る。大阪で勢いがある地域政党「大阪維新の会」に自民党を支持してきた保守層の一部が流れているとはいえ、その連敗ぶりは深刻だ。
自民党本部は参院選(全45選挙区)のうち大阪選挙区(改選数4)は公認候補の決定を最後に回し、現職の北川イッセイ氏の公認申請を差し戻す異例の措置をとった。現職がいる民主党や公明党に加え、おおさか維新の会や共産党も擁立する激戦区だけに「現職落選」の懸念は消えない。
関西圏選出の自民党国会議員が漏らす自民党大阪府連の弱さは「まとまらない、戦略もない」という点だ。昨年10月の府連大会は、直前までダブル選で陣頭指揮を執る新会長人事でもめる始末。最終的に国会議員による投票で中山議員が勝ったが、ベテランと若手の間には亀裂が走っている。
いまや批判の矛先が向かう中山新会長は安倍晋三首相と同じ派閥出身のため、府連は当初、首相官邸とのホットラインをフル活用してダブル選を乗り切る算段を描いた。だが、大阪維新代表の橋下徹大阪市長(当時)と松井一郎府知事の方が首相や菅義偉官房長官と太いパイプがあるのは「永田町の常識」。官邸の援護射撃を期待したまま戦略なき選挙戦を展開し、見事に完敗した。
宿敵だった橋下氏から「日本一、論理力のない政治家」と酷評される中山氏の手腕と倫理観に誰もが疑問符を投げかけている。少なくとも一連の“不倫”報道に「プライベートの事なので答える義務はありません」(週刊文春同号)と沈黙することなく、宮崎議員同様に公に会見を開くべきではないか。