当事者意識を高め顧客ニーズを発掘

むしろチーフ会で重視しているのは、数字よりも顧客情報だという。そうでないと、数字の根拠、たとえヨメてる場合でも、その理由がわからないからで、それはチーフとメンバーがヨミの共有を行うチーム会でも同じなのだ。

実はリクルートジョブズの営業の特徴の一つが「営業担当の圧倒的な当事者意識の重視」。期初に各自に戦略を立てさせるのも、その表れなのだ。だから、チーム会ではまず本人がどうしたいのかを確認したうえで、その手法やプロセスについて、もっと顧客に適した提案内容や方法がないか、常に話し合っている。

「お客さまが2年ぶりに採用するとき、採用環境はだいぶ変わっていて、従来の広告サイズでは訴求できないとか、欲しい人材を採れないことがあります。そこで、より大きなスペースの求人広告をご提案したり、媒体を変えてみたらどうかとディスカッションします」

そう語る高橋さんは一昨年4月、1年間の産休・育休から職場復帰し、新たな組織でマネジメントを始めたとき、チーフ会が変容していることに気づいた。数字ばかりを話し合う場になっていたのだ。それでは顧客の状況や、メンバー一人ひとりのコンディションが把握できない。高橋さんは改めてチーフ会の意義を説いて改善を図った。

「チーフに伝えたのは、ここは数字を確認するだけの場ではなく、グループで担当しているお客さまの話をする場であるということです。また自分のチームの話をするだけではなく、ほかのチームにも興味を持ってほしいということも併せて伝えました。その結果、ほかのチームメンバーやお客さまのことをみんなが見てくれるような時間に変わりました」

リクルートは起業家精神に富んだ人材が多いことで有名だが、営業現場でも一人ひとりの裁量が大きく、細かく管理されることはない。ヨミも上から与えられたものではなく、自分でつくった数字だからこそ主体的に取り組めるのだろう。自主性を重んじた独自の目標管理手法が、リクルートの強さの源泉になっているといえそうだ。

(南雲一男=撮影)
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