運や偶然ではなく、長期間にわたって調子のいい会社がある。それはその会社が、社風や社内用語、暗黙知などの形で、その会社独特の仕事の仕組みという「共有資産」を持っているからではないだろうか。
2014年10月、リクルートホールディングスが東京証券取引所第一部に上場した。売上高1兆1915億円(14年3月期)は人材サービスで国内トップ、世界でも5位につける。20年には世界トップを目指している。
リクルートは「人材メディア」「販促メディア」「人材派遣」が三本柱。なかでも収益が伸びているのが人材メディアで、人材派遣業も含めた売上高は約8800億円に達する。その人材メディア事業で、アルバイト・パート向けのフリーペーパー「タウンワーク」をはじめ、情報サイト「フロム・エーナビ」など多数の求人メディアを扱っているのがリクルートジョブズである。
高橋朋子さんは同社営業統括本部マーケット推進1部中央グループのマーケットマネジャーとして、中央・港・品川・大田の都内4区を担当、飲食や販売、サービス業種を中心に求人広告の営業を統括している。同グループにはチーフと呼ばれるチームリーダーが4人と、その下に各4~7人のメンバーがおり、内勤を含む36人のスタッフを高橋さんが束ねる。
その高橋さんは32歳の若さ。契約社員として05年から働き始め、08年に正社員、3年後の11年にはマネジャーになった。その早い昇進は、もちろん彼女の営業手腕が高く評価されたことによるが、ここで注目したいのがリクルート独自の目標管理システムである。彼女もその仕組みを活用して高い営業成績を収め続けたのだ。
「ヨミ会」と呼ばれる営業会議がそれだ。分社化前のリクルート時代から行われており、リクルートジョブズにも受け継がれる伝統の“黄金ルール”といえる。その、気になる「ヨミ」とは、読み込んだ受注見込み金額のこと。一般的な企業の売り上げ管理ではなく、受注管理をしている点が特徴なのだ。