「やればできる」自信と家族のいい思い出
昨年の春には、東京都八王子市にある標高599mの高尾山に行き、頂上まで登る予定ではなかったのですが、妻が達成感を味わいたい、と思ったため、すでに疲れが出始めていたにもかかわらず、頂上まで登りました。帰りの電車のなかで、妻はぐったりしていましたが、このときの達成感は「やればできる」という自信につながり、家族のいい思い出にもなりました。今春も挑戦するつもりです。
健康によくないけど、たまにしていることを挙げていくと、いくらでも出てきます。このようなことを書くと、身体のためにならない無駄遣い、と思う人もいるでしょうが、ちょっとしたときめきがなければ、闘病はつらくて続けられるものではありません。おおげさにいえば、生きる楽しみを奪ってしまいます。これでは免疫力や自然治癒力が下がり、かえって病状が悪化するように思えるのです。
ここまで私が思うのは、健康管理に細心の注意を払っていたにもかかわらずがんが転移してうつ病になり、入院して数カ月で亡くなられる人が、めずらしくないからです。人にもよるでしょうが、免疫力や自然治癒力が高まれば、いくらか転移の可能性が低くなるかもしれません。たとえ転移したとしても、ときには健康によくないことをしてときめいていれば、病状が悪化したり、うつ病になったりする可能性を下げられるかもしれません。そして、何よりも生きていて楽しいと思え、ひいては長生きにもつながると思うのです。
私の妻の場合、主治医から「治るとは思わないでください」といわれているため、ゴールのないマラソンを走るような日々です。この過酷なレースをいつまでも続けるためには、常にいい具合に肩の力を抜いて日常生活を送り、治療を続けることが、何よりも重要だと思っているのです。