コストを下げ、運賃に還元すれば、利用者は増え、収益につながる。それが原資となり、客が望む新たな路線やサービス・商品を生んでいく。ピーチの社員が楽しみながらコスト削減にせっせと励むことができるのは、その目的を理解し、ゴールを明確に描いているからだろう。

と同時に、人材の多様性も見逃せない。代表取締役CEOの井上は言う。

「ピーチの人材はダイバーシティが渦を巻いていますからね。よく日本の企業は優秀な人材を欲しいと言ってますが、あれはうそ。実際には組織として拒んでますよ。でもウチは違うよ。関西発の航空イノベーションを起こすんだ、世のため人のために高品質なインフラを供給するんだという志に共鳴してくれる人材がいろいろな分野から集まってくれています」

(左)整備部 品質保証課課長 山本朝彦氏(右)運航部 客室乗務課課長 恒川久美氏

確かに、ピーチは多様な人材の集合体だ。CAも、看護師、教師、警察官、スポーツ選手、劇団員など多彩なバックグラウンドの人材が活躍。運航部客室乗務課課長の恒川久美も言う。

「様々な世界のプロがピーチの下支えになっています。CAのマニュアルは基本的なところは決めていますが、自由度が高い。決められたことを決められた通りにやるのではなく、その場の状況に応じて、自分で判断するのがピーチ流です。ここは、できないと思ったこと、ありえないことでも実現できる場所。どんどん実践して、各自が外の世界で経験してきたものを活用してもらいたい。だから、再雇用のシステムも導入しました。これは他のエアラインにはない制度。すでに2人利用しています」