なぜ、新聞は政治家をほめないか

──月刊誌「WiLL」の花田紀凱編集長を官邸にお迎えし、「メディアのあり方」について対談を行った。花田氏は、「週刊文春」など数多くの編集長を歴任した伝説の編集者だ。

【飯島勲】私は、政治家ではなく、マスコミ出身でもなく、ましてや官僚出身でもない人間です。小泉純一郎氏の秘書、総理大臣首席秘書官として、今は安倍晋三総理大臣の内閣参与(特命担当)として、45年間、永田町にいただけの人間ではありますが、そんな私の見立てを話したいと思います。マスコミの一番の怖さは、3回同じような内容が報道されると、たとえ内容が事実とまったく違っていても、本当のこととして国民の目にうつってしまう点です。

月刊誌「WiLL」編集長 花田紀凱氏(写真=時事通信フォト)

【花田紀凱】メディアには大きく分けて2つの役目がある。1つは情報の発信、もう1つは情報の分析・批評です。

1988年に「週刊文春」の編集長になりました。以来、僕はいろいろな雑誌をつくってきましたが、日本の新聞の情報は非常に偏っているとずっと思っています。

情報、分析・批評を、雑誌を通して読者に届けたい、いつもそう思って雑誌を編集してきました。

テレビは感性のメディア。情報発信のスピードは速いけれど、情報の分析・批評にはなじまない。分析、批評して考えるヒントを与えられるのは、やはり文字のメディアだと思います。

しかし、新聞が頼りない。例えば、新聞は政治家を絶対にほめません。人間は誰でもほめなきゃ成長しないものです。批判をするのもいいですが、いいことをしたらほめるべき。新聞が時の総理をほめたことは皆無だと思います。日本の新聞は「ほめない、反省しない、謝らない」。