ここ数年、通販市場は堅調な成長を続けている。日本通信販売協会の調べによると、2007年度の売上高は対前年度比5.4%増の3兆8800億円。同協会の柿尾正之主幹研究員は「不況色が濃くなった昨年10月は前年同月比でマイナスに転じたが、08年度は3%程度の伸びを確保して4兆円前後に達するのではないか」と見ている。
その原動力になっているのが、パソコンと携帯電話によるインターネット通販の拡大だ。画面で自分が欲しい商品を探し、すぐに買えるという利便性が、若年層だけでなく中高年層にまで浸透している影響が大きい。通信販売の媒体別売上高では、依然としてカタログが全体の4割ほどを占めてトップだが、「購買に利用した頻度でネットはすでにカタログを上回っているものと見られる」と柿尾氏はいう。
もちろん、商品に対する信頼性の向上や、配送サービス体制の拡充が利用者に評価されたことも見逃せない。また、何度も繰り返される食品偽装問題で、消費者の間に生産者から直接買いたいというニーズの高まっていることも追い風になっており、最近では正月の「おせち料理」が通販の隠れたヒット商品になったという。
アメリカでは小売り全体に占める通販の割合が10%になっているのに比べると、日本はまだ3%程度でしかない。高齢化社会の進展によって、重い荷物を持たなくてはならない 苦の買い物 を通販で済ませようとするお年寄りたちも増えている。日本の通販市場の割合が米国並みの数字になるのも、そう遠い日のことではない。
(ライヴ・アート=図版作成)