法則1:一夜漬けは効かない

中室さん、加藤さんともに口をそろえるのが、「算数は一気にまとめて勉強するのではなく、コツコツ勉強したほうが成績が上がる」ということだ。「海外の調査で、同じ分量の数学の宿題を、一方のグループは『2カ月後にまとめて提出』、もう一方のグループは『2カ月の間、毎週末ごとに提出』とした場合で比べると、後者が圧倒的に成績がよかったのです」(中室さん)

「2日に1回以上勉強する子」と「3日に1回以下しか勉強しない子」の学習進度を比較

加藤さんも次のように言う。

「リスで勉強している子供たちを、学習の頻度が『毎日』や『2日に1回』の高頻度グループと『3日に1回』や『7日に1回』などの低頻度のグループに分けると、1週間の合計勉強時間は同じでも、学習の進み具合が前者のほうが1.5倍速いのです」

1回の勉強時間が長くても短くても学習の進み具合に差はなかったとか。つまり1回の時間は短くていいから頻繁に勉強するという学習スタイルが効果的だということがわかる。

ならば、コツコツ型の勉強をする女子のほうが成績はよくなりそうだ。しかし、理数系教科では中学になると女子は男子より成績が悪くなることが多くの調査で明らかになっていると中室さんは言う。それには男女の勉強方法の意外な事実が隠されていた。

「日本の高校生400人が冬休みにインターネット教材『すらら』に取り組んだ学習ログを一橋大学の萱場豊講師らが解析したところ、男子よりも女子のほうが、トータルの学習時間は長かったのです。これは予想通りともいえる結果でした。注目すべきはその“学習過程”。男子は少しずつコツコツと学習を進める傾向があり、女子は特に数学を最後にまとめて勉強する“一夜漬け”傾向があることがわかったのです」(中室さん)

一般的には女子のほうがコツコツ勉強する、男子は一夜漬け傾向があると思われがちだったが、データからは逆の結果が得られたのだ。一夜漬け傾向がある女子は勉強量の割に数学の成績は振るわなかったというわけだ。

「女子に対しては『コツコツ勉強することが大切だよ』と声をかければ、“一夜漬け”が修正され、算数の成績が伸びるかもしれません」(中室さん)

→少しでもいいから2日に1回は勉強しよう