信用取引で2億円の損失
桐谷さんが株主優待投資に目覚めた理由は、株価の暴落にあった。
「それまでは手元の資金の最高3倍までの取引ができる信用取引もしていて、それなりに成果が出ていました。
でも、バブル崩壊、サブプライムローン問題、リーマンショック。こういう予測のつかない事態で、株は暴落したのです」
信用取引は資金を借りて取引を行うため、借りた資金に損失が発生すれば穴埋めを行わなければならない。手元資金がなくなれば死活問題だ。
「結果的に合計で2億円ほど損失を出しました。破産するかもしれない、老後資金をどうしようと神経をすり減らす日々が続きました」
こうした経験の中で、株主優待はまさに救いの手だった。
「信用取引を行っていた当時、10万円の株式を買っても500円のクオカードしか届かないような優待には魅力を感じませんでした。でも、大損してお金が使えなくなると、株主優待が生活の支えとなり、初めてその魅力がわかったのです」
こうして信用取引から、株主優待や配当(いわゆるインカムゲイン)を出す企業への投資へと切り替えていった。現在では、手元資金で株式を購入する現物取引のみを行っている。