体の脇を空けずに取る

トヨタのものづくりの現場では「階層別教育」と呼ばれるリーダー教育もあり、そのプログラムには生産性を高めるための人の動きを研究した「動作経済」という項目がある。

端的にいえばこれは、よく使う道具であれば、「体の脇が空かずに取れるところ」に置くということ。つまり、使用頻度や利き手などを考慮してものを配置すればムダな動きは少なくなるということである。例題では、メモ用紙の位置を利き手側に置き変える、ということがトヨタ流「動的経済」の法則にのっとった配置ということになる。

さらに、トヨタ式の片づけは整理整頓という範疇をこえるから頭が下がる。

「デスク上をさらに作業しやすくするには、線を引くことです。ここの範囲内にはモノを絶対に置かない、と決めてビニールテープで区画線を張り、作業スペースを確保するのです。そうすると、不思議なものでむやみにモノが積まれることはなくなり、整理整頓の意識がしっかりと身につきます」(同)

ビニールテープで区画線を貼る考え方は、もっと応用が可能だ。モノを置かない場所を確保するだけでなく、モノを置く場所を決めてしまうのだ。

例題の場合、ファイル置き場に区画線を引く。区画線のなかにファイルがなければ、正しい場所にないということが一目瞭然。使いっぱなしで別の場所に置いたままということはなくなるのだ。