この曲、君は君のままでオンリーワンだよ、と恋する人に歌いかける内容なのだが、確かにこの歌詞の通り、「世界」の中では、人や花、どんな生きとし生けるものも、他と同じ存在は1つとしてない。すべてが「道」の作用によって、オンリーワンの価値を与えられているのだ。
ところが、現実の「社会」になると、そうはいかない。人と人とが作り上げている学校や会社といった「社会」のなかで、人は多くの場合入れ替え可能な存在に過ぎない。自分が辞めても、後から補充が入ってくれば済んでしまう。しかもビジネスマンの場合、入れ替え可能な存在である限り、いくら努力しても賃金があがらないという現状まである。
そんな息苦しい「社会」に嫌気を感じてしまったとき、「世界」や「道」に触れることで人は気持ちの鬱屈をかなり解消できるのだ。なぜなら、何かの道具であることに価値を置く「社会」とは違って、ただ存在するだけで、かけがえのない価値を「道」の作用によって与えられている――それが「世界」だからだ。
ただし、「世界」でのオンリーワンに安住し過ぎてしまうと、人は「社会」で価値が低いままに終わってしまう。他に代え難い人材となるために、必死の努力を重ねないと、望ましい収入や生活は手に入らないのが「社会」の現実でもある。
「世界」と「社会」のオンリーワンの違いを意識することが、人が有意義に生きる第1歩となるのだ。